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第2回:組織機構論の系譜から学ぶ①

科目概要
『組織と経営』は、組織が目的を達成できるように、どのような組織を作り、どのように運営するべきかを学ぶ科目です。

「組織論」に正解や万能薬はありません。だからこそ過去からの組織機構の系譜を押さえ、組織が抱える課題を正しくつかみ、組織の構成員を活かすために、一人ひとりが深く考えることが重要になります。その思考のヒントをBBT大学院の修了生の方に、分かり易く解説していただきます! 

科目名 組織と経営
担当教授 後 正武 教授
執筆担当 佐藤祐樹さん 2015年MBA取得
第2回(全6回) 組織機構論の系譜から学ぶ①
作成 2015/9/16

命題:やる気のない秀才君問題を組織デザインからアプローチする

前回、「経営者であるあなたは、やる気のない秀才君たちをどう扱うべきか?」という命題を提示しました。
答えは既に出ていて、「そんなものに100%の正解なんてないよ」というものですが、それでも仮説を立てることは可能です。

今回は、組織機構論の例に基づいて考えてみましょう。

スパン・オブ・コントロール

経営者のあなたはまず、彼らをしっかりと働かせるには、ちゃんと仕事を監視して、サボらせないようにしたり、フォローを入れたりすることが必要だ、という仮説が思いつくのではないでしょうか?

一般的に、人間が管理できる人数の目安は7人、なんて話を聞いたことがあるでしょう。
この概念が、管理限界と呼ばれるスパン・オブ・コントロールの問題です。

今まで、あなたの会社は10人単位の部署に管理職が1人、という管理体制でした。
これを細分化し、例えば5人の部署に管理職が1人に変えたらどうだろう、そうすれば彼らの仕事ぶりにしっかり目が行き届くぞ、と考えるわけです。

しかし、そうすることで、経営者であるあなたには新しい悩みが生まれることでしょう。
ひたすら計算すればわかるのですが、組織の階層が増えるばかりか、管理職数が数倍も必要になり、それによって現場で頑張る人員が減ってしまうのです。

ビジュアルで分かる「管理スパンと組織の効率」
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答えのない命題ではありますが、この問題の本質が「管理が行き届かなかったことによって生じているもの」と仮定した場合、経営者であるあなたは、組織のコミュニケーションや前線で頑張る従業員の頭数を犠牲にしてでも効果があるかどうか、頭を悩ませることでしょう。

経営者って大変ですね。

M・ウェイバーの近代官僚制理論

組織機構論の系譜を紐解くと、スパン・オブ・コントロールのような組織階層のデザインだけではなく、ルールによって機能する組織構造にも解決策を見出す必要にも気付きます。

ドイツの社会学・経済学者のマックス・ウェーバー(1864‐1920)は、近代官僚制理論というものを提唱しました。
王族などの伝統的支配や、偶発的に出現した天才やカリスマに依存することなく、組織のビジョンに基づいて合理的に支配する組織づくりへのチャレンジです。

官僚組織は各階層の権限範囲が厳格で、専門主義により分業が機能し、文書主義によって全ての仕事は文書によってなされ、記録として残します。
自由雇用と貨幣支給が前提なので、就職したい人が就職すればいいし、辞めたい人は辞めればいい。
厳格なルールと文書主義によって仕事中は没人格性を求められますが、オフタイムは自由です。

うまく機能している「良き官僚組織」であれば、こんなに良いことはないのではないか?と感じます。
やる気のない秀才君たちも、厳格なルールを作れば、効率よく働いてくれそうな気がします。

一方で、(日本の官僚組織がそうであるように?)弊害も生じがちです。
手続きや形式に縛られ本来の組織のビジョンが失われ、手段の目的化が進んだり、前例踏襲主義によるマンネリズムに支配されたり、想定外の事態に無力だったりします。

何より、この変化の速い時代において、最適で厳格なルール作りと実行は機能するのか?という疑問もあります。

経営者ってやっぱり大変です。

組織デザインのアプローチは有効か?

またまた質問です。
組織デザインの工夫により、やる気のない秀才君たちを有効活用することは可能かどうか?

答えはもうおわかりだと思います。

可能かもしれないし、できないかもしれない。
だって、そもそも100%の正解なんてないのだから。

だからこそ、わたしたちは過去の系譜から学ぶ必要があるのだと思います。

何百年も昔から、たくさんの頭のいい人達が、この問題について、一生考え、悩み、たくさんの文献を残し、100%の答えが出ないまま旅立って行きました。
そこから学ばずに、自分の年齢分だけの経験や勘で仕事をするなんて、恐怖だと思いませんか?

ということで、次回も組織機構論のアプローチを少しだけ紹介したいと思います。

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