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第4回:企業再生プロセス【1】緊急診断で再生可能か判断する

科目概要
『企業再生論』は、元産業再生機構執行役員であり、カネボウ化粧品会長兼CEOを始めとして企業再生の第一線で結果を出してきた余語邦彦教授より、経営再建・企業再生の秘訣と経営手法を学びます。

あなたのキャリアに大きくプラスに働く本科目のエッセンスをBBT大学院の修了生の方にわかりやすく解説してもらいましょう!

科目名 企業再生論
担当教授 余語 邦彦 教授
執筆担当 村上 昌也さん 2015年MBA取得
第4回(全8回) 企業再生プロセス【1】緊急診断で再生可能か判断する
作成 2018/02/07

人の病気になぞらえて企業再生を理解する

今回から3回に渡って、企業再生のステップを簡単に紹介します。企業再生のステップを考える際、人の病気になぞらえてみると、分かりやすく理解できます。

再生局面の企業は、救急車で運ばれてきた救急医療を必要とする患者のようなものです。救急車が到着したら、医師が素早く診断し、緊急止血や外科手術を行います。再生局面でも、まずは、現実を直視して緊急診断を行います。

次に、キャッシュフローを確保し、再生に最適な人員を選び、使命感を与えて組織をまとめます。これが止血です。そして、コアビジネスを見極め、儲ける仕組みを作り、情熱を持ってNo.1を目指し、事業を再構築していきます。これが外科手術です。

それでは、まず、緊急診断から見ていきましょう。

再生可能かどうかを判断する緊急診断

企業の緊急診断では、様々な検査が行われますが、根幹となるのはキャッシュフローです。借入金を返済し、必要最低限の設備維持資金をまかなうだけのキャッシュフローがあるかどうかが、検査のポイントです。

キャッシュフローが足りなければ、借入余力を検査します。また、時価ベースで純資産を評価し、債務超過に陥っていないかも検査します。

そして、危機に陥った原因を調べます。危機が構造的なものか一時的なものかどうか、また、全事業が問題なのか一部の事業が問題なのかどうか。

そうした検査を経て、再生の道を選ぶのか、再生しない、安定的な事業収束に向けたターミナルケアの道を選ぶのかが、客観的事実から診断されます。

危機が構造的なのか一時的なものかを判断する

緊急診断で行われる検査の詳細について、危機に陥った原因を調べる「ROIC TREE分析」と、「簡易事業部門別ROIC分析」を紹介します。

これらの分析に出てくる、投下資本利益率などといった言葉は、アカウンティングの知識がない方には難しく感じるかもしれません。その場合、概要だけでも理解していただければ大丈夫です。アカウンティングを学べばすぐに理解できるようになります。

まずは、ROIC TREE分析です。この分析は、税引後利益を投下資本で割った投下資本利益率(ROIC)をベースに、構成要素を分解していく分析手法です。

例えば、投下資本利益率が年々下がっているA社があるとしましょう。

投下資本利益率を売上で分解してみると、売上高税引後利益率と投下資本回転率(売上/投下資本)に分かれます。それらも年々下がっていることが分かりました。そして、売上高利益率が下がっている原因を分解してみると、売上高粗利率が下がっています。逆に売上高販管費率と税率は変わっていません。ここで、さらに分解すると、原価は変わらず、売上が落ちていることが分かりました。さらに売上が落ちた原因を分解すると、自社シェアは変わらず、市場が縮小していることが分かりました。そして、市場縮小の原因は流通量と価格、両方下がっている事が分かりました。

ここまで分析した事をまとめると、売上低下は市場構造によるものであり、構造不況である、という結論になります。

同じように、投下資本回転率を見ていきます。

ROIC TREE分析は、それぞれの要素を時系列で見て、変曲点に着目することで、何が起こったか、原因を分析していく手法です。

全社的な問題か一部の事業が問題かを判断する

次は、「簡易事業部門別ROIC分析」です。
この名の通り、事業部門別に投下資本利益率(ROIC)を分析し、Good事業とBad事業に着目して事業の価値を判断する分析手法です。

投下資本利益率がマイナスでも、事業別に見てみると、マイナスに至るパターンは様々です。例えば、あるB社では、高収益事業がある一方、大幅な赤字事業があり、全体としてマイナスになっています。一方、あるC社では、これといって高収益事業がありません。その上、特定のいくつかの事業が赤字であり、全体でマイナスとなっています。

B社とC社の会社の価値は同じですが、B社は特定部門の問題、C社は全社的部門の問題、ということが言えます。
成長戦略を実行することが、「良い再生」第二のミッションです。

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