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第1回:戦略的自由度 (SDF=Strategic Degrees of Freedom)

科目概要
「イノベーション」は、収益減やマーケットシェア低下をはじめ、事業計画のマンネリ化、商品の陳腐化、あるいは業界全体の縮小といった難問に遭遇したとき、どのようなメソッドを武器に限界を突破していったらいいのかという思考方法を11の発想法に整理し、教授する講座です。

BBT大学院の修了生が分かりやすく解説します。

科目名 イノベーション
担当教授 大前 研一 教授
執筆担当 Aさん 2007年MBA取得
第1回(全11回) 戦略的自由度 (SDF=Strategic Degrees of Freedom)
作成 2014/5/7

ユーザーは「本当は」何を求めているのかを考える

戦略的自由度とは、(1)ユーザーの目的関数を考え、(2)目的を達成するいくつかの方法(軸)を設定し、(3)軸に沿ってどんな事が出来るかを考える、というステップになります。

まず、目的関数として「ユーザーは何を求めているのですか?」と質問するところから始まります。大半の会社は「我々は何を提供したいのですか?」というところから考えがちですが、そうではなく「ユーザーが求めているものをお届けする為に、どれだけ違う方法がありますか?」と方法(軸)を設定して、それぞれの軸に沿って具体的なアイデアを考えていくのです。

事実に基づいて徹底的に「軸」を洗い出す

30数年前、カメラメーカーをコンサルタントした時の事例を紹介します。

当時、メーカーでの「良いカメラ、レンズ、フィルムを作りたい」という声に対して、ユーザーは「良い写真を求めている」という目的を置きました。そこで、チームメンバーが写真ラボから18,000枚の写真をかき集めて調べてみると、7%もの失敗写真がありました。それを更に、原因別に分類すると、「露出不足」「手ぶれ」など色々な原因がありました。

例えば露出不足では、室内で撮った写真が多く、当時は別の機材であったフラッシュを持ち歩かない人が多い事から、フラッシュ内蔵というアイデアが出ました。ところが、レンズの主軸に近い所にフラッシュがあると、人物が赤目になって写ってしまうので、フラッシュ内蔵ポップアップ式という方法が生み出されたのです。

軸の「掛け算」が打ち手の数になる

カメラの事例をまとめると、次の様にまとめる事が出来ます。

【戦略的自由度を用いたカメラの発想例】
(1)写真の出来上がりを向上する為の自由度の方向

軸1:フィルム
軸2:レンズ
軸3:付属装置(シャッター等)
軸4:光源
軸5:撮影者の技量
軸6:印画紙
軸7:DPEラボ

(2)戦略的自由度「軸1~軸3」の検討項目
・シャッター
シャッター/フラッシュ/寸法/重量
・フィルム
スピード/色調/枚数/解像度
・レンズ
光差/光量/重量/焦点距離

こうして、写真の出来上がりを向上する為に出された270個のアイデアを、一つひとつ潰していったのです。

つまり、ユーザーが求めているのは目的であり、メーカーがやっていたのは手段だったのです。この方法は、やりやすく、再現性があり、ほとんど何にでも応用できてしまいます。

日々進化する「目的関数」を見つけ出す

迷ったら、「ユーザーが求めているのは、何ですか?」「我々は、それを十分提供していますか?」「ユーザーが満足しない部分についての、原因は何ですか?」「解決するには、どういう方法がありますか?」という順序とパターンで考えると有効です。

他にも、コーヒーメーカー(美味しいコーヒーを飲みたい)、クーラー(快適な環境が欲しい)、洗濯機(衣類の汚れを落としたい)、薬(身体の不快感を解消したい)といった事例が講義映像では紹介されています。

最近の事例で言うと、掃除ロボットは「部屋をキレイにしたい」という目的関数だけでなく、「楽をしたい」という目的関数が加わっています。この様に考えると、時代の変化と共に、ユーザーの目的関数も進化していると言えそうです。

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